301 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage①

2016年3月、再びヨーロッパへ。
目的は2つあった。
一つはパリのとある設計事務所への就職活動、
もう一つは前回行けなかった、もしくは前回には完成してなかった新しい建築作品のうち気になっていたものを見るために。

フランスとベルギーに完成した、RCRの最新作
Musee Soulage
Centro Cuisine
Crematorio
はどうしても見ておきたかった。


前回スペインに滞在しながら休日を利用していろいろ巡ったヨーロッパ。
ただその時とは自分も、あちらの社会も、いろいろ状況が様変わりしていた。
出発の4ヶ月前にはパリ同時多発テロがあった。そして到着の翌日にはブリュッセル同時多発テロ
混雑している場所を通るだけでも神経を使った。
空港でも駅でも、あちらこちらに銃を持った兵士の姿があった。
自分の状況もひどかった。いろいろ日本の建築事務所で仕事して理不尽なことが続き、その後少し安定し、
でも満足できずそれを何とか変えようといろいろ動くものの何も事態が変わらず、陰鬱とした気分が続いた。
アプライをとっているパリの設計事務所への訪問は到着の5日後、だがそれも上手くいく確証はない。
それは何とか事態を打開したいという、半ば最終手段のギャンブルだった。


そんな陰鬱な気分を、まず久しぶりにRCRの建築を見て、取り去りたかった。
夜パリに到着するなり、寄り道も食事もせずに夜行列車に乗ってRodezという街を目指した。


駅で待つ時間も、夜行列車も既に怖かった。さすがに地方に向かう列車に乗り込むテロリストはいないかもしれないが。
ほぼ寝不足のまま、早朝のRodez駅に着いた。


 


つづく