314 Kroller Muller Museum 散策型美術館 (4)
Van Eyck Pavilion
記号的な抽象絵画のような印象的な平面図.
学生時代にどこかの本で見て印象に残っていたが, 実在する建築とは思わなかった.
本館とは離れた, 彫刻作品が点在する森の散策路を抜けたところにそれはあった.
ファン・アイクとヘルツベルハー, オランダ構造主義の建築家, 平面・形態と人のアクティビティとの関係に着目した建築家.
学生時代に知って相当影響を受けたこともありつつ, 初めて見る実作.
リートフェルトのもの以上に気持ちが高ぶった.
直線の壁, 円弧状の壁, 彫刻作品, 来訪者.
リートフェルトパヴィリオンと同様の, ほぼ内部が無い建築.
ただ前者がより彫刻的であるのに比べると, こちらはより建築的だと感じた.
吹きさらしの場所に配置された <閉じる>ことのない平行な壁.
部分部分にリズミカルに挿入された壁の開口や円弧.
この単純なルールのみで, 吹きさらしの場所に留まる場やシークエンスなどを生み出している.
開口から見える彫刻. その間に入るとまた別の彫刻が見え, そちらへと誘われる.
最後の彫刻が覗いている先は, パヴィリオンの外の森.
彫刻と呼応した空間.
スカルパのカノーヴァ美術館を思い出した.
実物の実作を見るときの楽しみは, その素材感や納まり.
コンセプトである壁の形態・素材感を際立たせるためか, 屋根はシステマティックで軽い造り. しっくりくるデザイン.
後日ネットで検索したところ, おそらく本人のものと思われる平面スケッチに行き着いた.
平面と形態とアクティビティと. 描かれている意図のままに自分がその空間を体験して行動させられていたことが後から分かった.
示唆に富む, とても好きな平面である.