402 ミースの余白_Federal Center Chicago(1)

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黒塗りの鉄骨フレームとマリオン, ガラス, トラバーチンの壁.

シカゴのIBMビルやレイクショアドライブアパートメント、ニューヨークのシーグラムビルなど、多くのミース建築を今回滞在中に見た.

デザインコードが共通のため, おそらく部分だけを見せられたら, 正直自分には区別がつかない.

 

だが, このシカゴのフェデラルセンターは別格だと感じた.

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建物単体としての構造の明快さ, 納まり, プロポーション,ミースの「オーダー」.

これら、建物の'実'としての部分に目が行きがちになる.

けれど, フェデラルセンターは3棟に囲われた広場, つまり'虚'の空間が中心であり主役である. 今回肌で感じたのは, ミースが抜群に上手いのはこの余白部分の作り方ではないか, ということだ.

 

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 広場は二つの高層棟にL字に囲われている.

そして効いているのが, 三つ目の要素として置かれたこの平屋の低層棟.

この機能は郵便局なので, カウンターの中では局員が執務をし, 絶えず利用者がここを出入りする.

高層棟の1F部分の機能は, たいていがエントランスロビーかエレベーターホールなので, 警備員が目を光らせ, 人々が足早に通過するだけのスペース.

もしこの広場の周りが高層棟だけだったなら, この広場はもっと殺風景になっていたはずだ.

人の活動のある内部空間が広場レベルに設けられたことが, この場所の質を高めている.

 

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この郵便局, 平屋としては天井が異常に高い.

周囲二つの高層棟のピロティ部分と同じ高さで揃えられている.

内外の連続性が強調され, 建物内部というより広場の中にいる感覚になる.

 

つづく