404 基壇と光の空間_IIT Crown Hall

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イリノイ工科大学に着いた時は夕方で, クラウンホールの前にたどり着いた時にはもうすっかり暗くなっていた.

夕景がどんな感じかに興味があった.

 

一時期, 建築の夕景はまやかしだと思っていた時期があった.

もちろん美しいけれど, 人に使われている建築の本来の姿は昼景であり夕景ではない.

ただ, ミースのガラス建築のようなものは夕景の方が内外の構成がわかりやすいのでは,

そんな予感がしてわざわざ夕方のキャンパスを訪れた.

 

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余談だが, IITキャンパスはマスタープラン自体がミースなので, クラウンホールと同じような黒い鉄骨とガラスから成る建築がいくつか点在している.

自分はキャンパスに入って最初に出会った「ミース風」の建物, Herman Hallをクラウンホールだと勘違い. (後で知ったが, これは設計者もミースではないらしい.)

けれどその並びにも同じような外観の図書館があり, さらにその奥にも同じような外観の建物.  ん?こっちの方が光とか納まりとかが綺麗, と思ったその奥の建物こそが本物のクラウンホールだった.

 

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基壇の形によりあまり高さを感じさせないが, 1FLはGLから1.5m程度上がっている.

キャンパス内の他の類似建築と比べ, 目に入ってくる雑味要素が少ないのが一目瞭然だ.

 

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内部はまた「虚」の大空間が待ち受ける.

柱が二本しかない均質空間.

床は木質パーティションで仕切られているのに対し, 天井から降り注ぐ照明光は何にも仕切られず, 均質に大空間を満たしている.

 

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またホールの向こう側にある屋外も, アイレベルから下は切られるが, 上の空の色や木立は仕切られることなく続いている.

 

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パーティションの奥には少しだけ学生の作業スペースがあるものの, ひたすら大きな無の空間が1Fを占め, 製図室や図書室などの機能は全て階段から降りた地階に収められている.

だからこの空間での体験は, ただ木質パーティションの並びと, 上部で抜ける周囲の風景を見て, 天井からの均質な光量を感じるのみだ.

 

つづく