407 公共の空気が作り出すもの_Nelson Atkins Museum(2)
丘に点在する半透明のボリューム.
頂上の一番大きなボリュームが, いわゆるエントランスビルディング.
新古典主義の威厳ある旧館の正面性の強いファサードの横から, 不思議な形態がニュッと顔を出している.
形態の念入りに操作された量塊感.
旧館側面との間に生み出されるスペースが素晴らしい.
程よい距離感で新旧の壁面が窄まり, そして奥に行くに従って新しい壁面は離れていき, 拡がりを感じるポケットスペースに.
奥では地面が少し持ち上げられ, その奥には次の半透明ボリューム.
手前に置かれた群像のような彫刻.
奥へ奥へと誘われる, わくわくする感覚.
そしてエントランスビルディングに入ると, 柔らかい光の空間に包まれる.
柔らかい光の空間に, 空中を交錯する動線経路のスロープ.
地中へ潜っていく経路と, 天上へ登っていく経路.
「階」としてのスラブがここにはほとんどない.
柔らかい光の空間が強調され, 人がその空間を浮沈するような感覚.
光は時間を追って回り込む.
到着した午前には入口対面の壁面が光を発し, 午後になると入口側の壁面へ.
その壁面の光には次第に色がついていき, 日が暮れると今度はこの光の箱自体が外部に向けて光を発する.
この空間に身を置いて, その光の現象を見る.
それは全く飽きが来なかった.
そしてこの日は終日この場所で過ごすことになった.
つづく