073 Museum Insel Hombroich 散策する美術館②


インゼル・ホンブロイッヒ美術館、それは散策する美術館である。
かつての荒れ果てた沼地を庭園として整備し、彫刻やパヴィリオンを点在させ、一連の美術館としたようだ。
全部で16のパヴィリオンがあり、訪問者はそれらを巡りながら、同時に庭園にある自然・沼地や彫刻を愛でるというわけである。
子供の頃、林間学校等でやったオリエンテーリングを彷彿とする。


 
最初の受付棟を抜け、沼地を少し歩くと、早速最初のパヴィリオンに出会った。
Turm(=tower)と名付けられたパヴィリオンは、沼地の中にポツンと建っていた。
中には、何も作品は置かれていない。
四方に扉があり、そこから庭園内の風景が眺められるようになっている。
これはさしずめ、最初に方位を示すコンパスの役割をしているのだろうか。


 
地図を頼りに次のパヴィリオンへと向かうと、今度は周囲四方を並木で囲われたLabyrinthというパヴィリオンにたどり着いた。
面白いのは、すべてのパヴィリオンが共通して、ココア色の煉瓦造の外壁と木製の扉というデザインコードで統一されていることだろうか。
外見はすべて同じなのだが、内部空間がそれぞれ違うので、「次はどんな空間なのだろう?」と思いながら毎回扉を開けることになる。
何か異世界へと誘うような、そんな扉だ。


つづく