2020-01-01から1年間の記事一覧

417 二つのガラスの家_Mies and P.Johnson(1)

同時代の2つのガラスの家がアメリカにある. ミースのファーンズワース邸とフィリップ・ジョンソンのグラスハウス. いずれも名作住宅として数えられるが, そのつくりは一見よく似ている. それもそのはず, フィリップ・ジョンソンはミースのファーンズワース邸…

416 実像と虚像のブルックリン_Brooklyn

ブルックリン. このエリアが注目を集めるようになったのは2017年頃のことだっただろうか. アンティーク+シンプルモダン, そしてクラフト感. 家賃の安さに惹かれて移住してきたクリエイターたちによって, 寂れて治安の悪かった旧工業地域は, クリエイティブな…

223 Structure-atmosphere-ecosystem(4)

7.残存するもの/関係性を変えるもの_Structure 自然の生態系を読むように社会のエコシステムを読み解き, そのエコシステムに接ぎ木するように空気感と構造をつくること. 先に書いてしまうと, これが多分自分が目指している建築なのだと思う. 構造とは,まず第…

222 Structure-atmosphere-ecosystem(3)

街のあり方として、ローカルなエコシステムを形成することの重要性を前回述べた. そして建築である. 脱線するといけないので, どういう内容に向かうか先に書いておく. この一年, 様々な場を歩き体験した中で自分が感銘を受けた, この時代に適応したイノベー…

221 Structure-atmosphere-ecosystem(2)

3.生産-消費 二極構造の脱却_Ecosystem 前回記事でも触れたが, Ecosystem=生態系 が今後のまちづくり・建築・ライフスタイルの鍵になると考えている. y-sag.hatenablog.com 建築・まちづくりの文脈での「生態系」という言葉は, これまでも表れてきた. 例えば…

220 Structure-atmosphere-ecosystem(1)

今, 新しい建築のあり方が模索されている. それも狭い建築家界隈内の話ではなく, 今後の社会やシステムやまちづくり等を全て統合した話として. 1. 前時代_Function-service-cosmetic(パッケージ化) 今まさに崩れ去ろうとしている前時代を振り返ってみる. 日…

219 創作の場としての廃墟

11-1 Studioの整備. 近隣には建築・木工系の町工場が多い. 彼らに分離発注して「技術のショールーム」的な場にするとともに, 自分自身でDIYもしながら仕上げていく. そういう整備コンセプト. その一環として, DIY用に, ある作業場を確保することができた. 11…

415 建築化された「散歩」_EPFL Learning Center

スイス, ローザンヌにあるEPFLラーニングセンターを訪れたのは2012年のこと. 完成して間もない頃だった. いうまでもなく空間体験は圧倒的に印象に残ったのだが, 当時はまだとても月並みな表現になってしまいそうで文章化ができなかった. 後年に完成したGrace…

218 Tokyo 2.0(ver. y-sag)

Tyler Cowenという経済学者が4/3にブログに書いた記事が話題になっている. World 2.0 - "There are decades where nothing happens, and weeks where decades happen" - Marginal REVOLUTION コロナ収束後の世界がどうパラダイムシフトするかを予測している…

414 建築化された「散歩」_Grace Farms(2)

丘の起伏に沿って蛇行する「散歩道」. 途中途中にガラスで仕切られた屋内空間が出現する. それぞれがサロンだったり, レストランだったり, 図書室だったりする. いずれも徹底されているのが, 「室」にならないようにしていること. あくまでもサロンもレスト…

413 建築化された「散歩」_Grace Farms(1)

鉄道駅から歩くこと約1時間半. 随分と長い道のりだった. ここはニューヨーク郊外のNew Cannan. アメリカでも特に富裕層の多い街. 途中の道のりには, 森林の中に別荘のような邸宅が並ぶ. やっと辿り着いた, Gracefarmsの正門. これだけだと, まるでゴルフ場の…

412 フォートワースという街

イリノイ州のシカゴからテキサス州のフォートワースに入った途端, 同じアメリカなのに全く違うものに感じられた. 空気感, 物価, 治安, 食事. 空港から列車でフォートワース駅に降り立つと, 目に入ってきたのは, 西部劇のように腰に銃を差した警官たち. 物々…

218 「ハマスホイとデンマーク絵画」展

美術館で初見した自分が知らない画家の絵画. それがずっと脳裏に残り続けるのは珍しいことだ. ちょうど昨年の2月頃のこと. 上野の国立西洋美術館の常設展でこの画家の作品を初めて目にした. たしか企画展の「ル・コルビュジェ_ピュリスムの時代」を見た後だ…

411 シカゴという街

一般的に, アメリカの街並みには風土や歴史があまり無い. それは真だろうか. シカゴは典型的なアメリカの街並みだが, 歴史を帯びつつある街で印象に残った. シカゴはある意味, 最古の摩天楼街が原型をとどめている街だ. 1871年シカゴ大火を契機とした再開発…