076 Tanger アンダルシアから行くモロッコ①

日本で建築や都市を扱う人間にとって、ヨーロッパ(特に南欧)の街は日本の街に比べて非常に魅力的に映る。
そしてそれにも増して、アフリカやイスラムの街は更に魅力的かもしれない。


それを自分の目で確かめたくて、クリスマス休暇を利用してモロッコに行くことにした。
スペインは南端のジブラルタル海峡を挟んでアフリカに近接しており、フェリーに乗ること1時間、モロッコ地中海側の港町Tangerに着く。


船で国境を越える感覚というのは不思議なもので、島国日本ではなかなか味わえないボーダレス感である。しかも、船に乗る1時間のうち、30分は出航準備の停泊時間なので、実質30分の移動で国も文化も変わってしまうのである。


行きは良い天気だったので、船のテラスから風景を見ていた。そして、見えてきたタンジェの街の様相は、想像とだいぶ違っていた。
地球の歩き方」で見ていた地図には地形情報がないので、思っていたより街に起伏があり、街自体が一つの白い山のようだった。
同じ白い色でもアンダルシアの街並とは決定的に違い、瓦屋根がなくすべて陸屋根で、計画が雑然としていて、アザーンの声が大きく響き渡っていた。


 
かつてヨーロッパとのせめぎ合いの地だったタンジェは、海に浮かぶ要塞のような街だった。


つづく