006 diplomaについて③

この「half-build」は、平たく言ってしまえば、建築を構成する部材の更新のし易さ(加工・施工のし易さ)にグラデーションがあり、その部分がそのタイムスパンに応じて変化する、結果として一つの建築の中に異なる古さ・新しさの要素が組み合わされていくというものである。

一般的に、建築は完成品としての形があり、メンテナンスなどはあるものの、そのオリジナルの形はいっさい変わらない。しかし、このhalf-buildによる建築は部分部分が段階的に形を変えられていくのである。
self-buildという言葉がある。self-buildは、加工しやすい部材を使って建築を全て自分で手づくりするというものだが、ここでは部分的にそれをしていくのでhalf-buildと呼ぶことにした。
作品の題名は「遺構化する船〜half-buildによる実験的試み〜」。
既に学報にも掲載されて出版されているのでそちらも見てほしい。

で、自分がこんな風変わりな建築のあり方に傾倒することになったのは、当時所属していた研究室のテーマによるところが大きい。
自分が所属していたのは中谷研究室、建築史が専門だった。
なぜ自分が4年生のとき建築史を選んだのか、そこで何に刺激を受けたのかは次に書こうと思う。