007 現前する歴史①


自分は早稲田で4年生の一年間、中谷研究室に所属していた。
早稲田の中では新しい研究室で、括りとしては建築の歴史を扱う研究室なのだが、ちょっと変わっていて「歴史工学」なるものがテーマに掲げられている。

中谷研究室のホームページ
http://www.nakatani-seminar.org/

3年生の終わりごろ、自分はリノベーションつまり歴史的建造物の再生に興味を持っていた。古い建築に新しい部分が挿入されて、新しい機能として使われる、そういったデザインに興味があった。(今から考えるとちょっと稚拙な興味だったとも思うが。)それともう一つあったのが、歴史というものが過去へのノスタルジー(例えば五重塔が格好良いとか)だけではなく、むしろそれ自体が現前しているという認識に共感できた部分があった。
中谷先生自身がアクティブで、Twitterもやっているくらいなのでここであまりいい加減なことは書けないのだが、自分なりの勝手な認識では、中谷研で扱っているのは上記のような「現前する歴史」に対する研究だと言えると思う。

自分の当時の興味は稚拙なものだったが、この「歴史工学」という得体の知れないものと何らかのかたちで結びつけられれば面白いことができるのではないか。こういう漠然とした期待もあって、自分は中谷研究室に行くことにした。

つづく