203 空気感と公共空間と④

岐南町庁舎・公民館・保健相談センター
異なる3つの機能が、2つの棟をもつ曲線的な屋根でズルズルとつながる構成。
公民館と保健相談センターを低層棟とし、それに囲まれるように5階建ての庁舎棟がそびえる。
長い縁側のような軒下空間が施設全体をぐるっと囲むことで、様々な方向から来た人々を引き寄せる。
既存の旧庁舎は新庁舎竣工後に取り壊すため、旧庁舎を避けるような形でこの不思議な屋根の平面形状になっている。


外から地面にバウンドした光がコンクリート打放しの軒裏に再反射し、軒下空間に取り込まれる。
この周囲は植栽される予定になっており、完成すると低い木々の緑もこの軒裏に反射して、軒下空間を彩るだろう。
軒の一番低い所で1.9m程度、この高さが居心地の良さを生んでいる。


RCの屋根は軒先等の見える部分で極力薄くなるように作られているため、とても軽い印象である。
自転車置場からの細い通路も非常に魅力的な空間になっている。


話は飛ぶが、最近になってようやくiPhoneを手に入れた。
そのカメラのパノラマ機能を知った時は驚くと同時に、まさに建築を撮るのに今まで欲しかった機能だと思った。
これで広がりのある空間でも余すこと無く撮ることができる。

この建築はまさにこの機能にうってつけだった。
屋根の下に伸びやかに分岐しながらつながっていく空間というコンセプトが端的に撮影できる。
公民館の講堂方向と学習供用室方向へ分岐する部分のパノラマ。