412 フォートワースという街
イリノイ州のシカゴからテキサス州のフォートワースに入った途端,
同じアメリカなのに全く違うものに感じられた.
空気感, 物価, 治安, 食事.
空港から列車でフォートワース駅に降り立つと, 目に入ってきたのは,
西部劇のように腰に銃を差した警官たち.
物々しい雰囲気.
モーテルに向かう路線バスで駅から数分後車窓にあったのは, おびただしい数の路上生活者たちだった.
フォートワース駅の東側, ハイウェイのジャンクションあたりにはホームレス保護施設や廃品ショップが並ぶ. 乗ってはいけない路線に乗ってしまったような気がした.
1日目の夜はあまりに外に出るのが怖すぎて, モーテルの自販機で売ってたインスタントラーメンで夕食を済ませたくらいだった.
乾燥した空気感, 粗野な街並み, ポップなサイン, フレンドリーな人々, 時々話しかけてくるヤバい結構危険な人, 低めの物価, 美味い食事.
ヤバい人たちを除けば, 結構良い街だと思え始めたのが2日目くらいから.
この日はフォートワース北部のStockyardsと郊外のGrapevineを巡った.
いずれもいわゆる観光地, ただあまり海外旅行者が行くところでもないのかもしれない.
Stockyards
Stockyardsはかつての家畜取引市場.
西部劇そのままの街並みが残っている.
奥にあるStockyards Stationには, かつてここから出荷するための貨物の引込線路が残り, 貨物駅特有の広大な倉庫や長い通路が, ショップやレストランとして活用されている.
レールが一直線に横たわる, リニアな大空間が壮観.
交通インフラ特有の大空間. 天井ファンが回る.
乾いた空気. 静寂. 悪くない空気感.
Stockyardsから更に北へ鉄道で30分ほど.
サイロが聳えるGrapevine駅.
これと言う観光スポットがあるわけではないが, レトロな街並みとのんびりとした空気感が心地良い.
見所としてはほぼ駅前に伸びる目抜き通りにまとまっている.
Palace Theaterという, ちょっと昔のアールデコ様式の映画館.
それはおそらく映画館というビルディングタイプが出てきた時期がちょうどアールデコ様式の時代と重なったためだろう.
このイメージはたぶん日本で戦後に建てられた映画館にも真似して取り入れられている.
この建物を見て, 瞬時にTHE映画館と感じるのはそのためだろう.
典型的な映画館なのだがよくよく見ると, 入口上の適度に控えめな装飾的な庇や,
白壁にツヤ感のある真紅色のタイル壁や, 明るい色の木扉など, 品の良さを感じる.
Grapevineはワインの街でもある.
街中にもいくつかエノテカがあり, 様々なテキサスワインを楽しむことができる.
帰りにはワインを1杯引っ掛け, その後ハシゴしてマルガリータを1杯.
ラフな空気. ポップな看板.
小さなエリアを巡った1日だったが, なぜか今回のアメリカ旅行で一番,
典型的なアメリカらしさを感じた1日だった.