411 シカゴという街
一般的に, アメリカの街並みには風土や歴史があまり無い.
それは真だろうか.
シカゴは典型的なアメリカの街並みだが, 歴史を帯びつつある街で印象に残った.
シカゴはある意味, 最古の摩天楼街が原型をとどめている街だ.
1871年シカゴ大火を契機とした再開発が, シカゴ派なる建築運動を呼び, 鉄骨造の高層建築群が形成された.
その後, 高層ビルは大量に劣化コピーされアメリカ各地でも, ここ日本でも建設されている.
シカゴの街には独特の空気感がある.
摩天楼の街でありながら, 果てしなく大都市というわけではなくどこかコンパクトな印象を受けた.
摩天楼は中心部にほぼ固まっていて, 周縁には緑地や大学キャンパス, 良好な低層の街並みが広がっている.
このシカゴの中心部を特徴付けているのが, The Loopと呼ばれる高架環状線の存在だ.
この高架環状線と車道の接点の横断歩道が, シカゴの風景をつくっているといっても過言ではない.
環状線というと, 日本では山手線などを思い浮かべる.
けれどシカゴのループは, それよりはるかにこじんまりしている.
ループと車道が交わる交差点からあちら側をみると, 見える距離にループのあちら側があるのだ.
ループには, さまざまな方面からの列車が乗り入れ, ループを一周して別の方面へと向かう. だから数分おきにループの上を動く車両が見える.
ここまで交通の頻度が多いと, 交通の概念が少し変わって見える.
ループは一定の高さで常に高架というのもなかなか特徴的だ.
その高さはだいたいビルの3Fレベルくらい.
林立するビルの壁すれすれを列車が走る.
ループでしか見れない都市の断面がある.
そしてその駅のホームは渋い木張りの床と可愛い形の電灯.
交通が楽しいと街も楽しい.
(しかし若干交通費が高い.)