305 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage⑤

2枚の絵、白の中に黒の世界、黒の中に黒の世界、
黒い壁の後ろに白の部屋、そこにまたある白と黒の絵。



黒い部屋の先の白い部屋、そのまた奥には黒い部屋。
外から見た時に突き出ていたコールテン鋼の直方体の部分が白の部屋、それをつなぐ平屋の部分が黒の部屋となり、
それが交互に見えてくる。
白い部屋は閉じたホワイトキューブで、トップライトから間接光を取り込んでいる。版画作品中心の展示。
黒い部屋は1面が窓となっていて、斜面下の景色を取り込んでいる。彫刻作品中心の展示。



  

白い部屋も黒い部屋も、構造から仕上げに至るまで非常に規律的であることが分かる。
黒い部屋ではまず門形の構造フレームが長手方向を均等に分割し、それが窓枠となり、
展示物配置のガイドラインとなり、さらには床の鋼板割付パターンまでも規定する。
床の鋼板は等幅ではなくおおよそ1:3:6の幅のパターンにより分割されている。
この床のテクスチャも、どこかSoulageの絵画のようである。


帰りにミュージアムショップで買ったSoulageの作品集を見て、後から分かったのだが、
彼の絵画も、黒と質感のみによる画面をどう切り分けて分割するかが生命線となっており、
その絶妙な分割プロポーションはスケッチで繰り返し試行錯誤がなされていた。


つづく