321 Educatorium/Material(3)

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美しい階段があった.

 

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プロフィリットガラスによる光の壁と, 亜鉛メッキグレーチングによる透けた壁.

いずれも工業製品だが, それらを上手く組み合わせて使い, 上質な空間に.

 

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断面も納まりも隠しようがないのでそのまま表しになっている.

先ほどの透けた壁にはグレーチングの開口を挟み込むように固定された手摺のガセット.

2層全高におよぶプロフィリットガラスは, 工業製品の特性上高さが一枚では取れない部分が生じている. がここでは途中まで中間に中桟を上階スラブからの控えと天井からの吊りで流し, 成り立たせている.

その補強材的要素ですら, この階段の美しさを成り立たせる一要素だ.

規格制約のある工業製品を使うことをポジティブにそして素直に解いたデザイン.

 

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少し脱線する.

日本でいくつかの事務所に勤務したが, 傾向として <新しい空間>としての<新しい構造躯体>を追求し, 公共建築が多い事務所で働いているほうがなんとなく水が合った.

なぜ公共を好むのか, 大規模だからなのか, それが長年の疑問であったが, 今の事務所に入ってから同僚と話していて一つなるほどと思ったことがあった.

個人(設計者・施主)の好みで材料選択の可能性が無限にある高級住宅や商業建築と違い, 公共建築は材料選択の自由があまり無い. 内装や外装の部分にこだわったとしても, 公共であればVEとして真っ先に削られるのがその部分になる.

他方, 構造は基本的に削られることがない. 構造を削ることはもはや建築が成り立たないことを意味する. だから削られない構造躯体の部分に力を注ぎ, 構造躯体により新しい空間を実現しようとするのだ, と.