403 ミースの余白_Federal Center Chicago(2)
この広場にある独特の緊張感といやすさ.
どこか, RCR作品の空間に感じるものと非常に似ている.
おそらくこの緊張感を生み出していると思われるのが, 座標系とプロポーション.
広場を舗装する花崗岩板, 石のベンチ, 緑地帯, 建物の列柱, サッシ割, 徹底して同じ規律のグリッド状に揃えられている.
グリッドに揃えるだけ. 一見陳腐で, どこか人間味のないコンピューター的な無限空間を連想させる.
けれどその広場を, 人がグリッドと関係なく絶えず色々な方向に横切っていく様子を石のベンチに座って見ていると, それと合わせて完成する空間を感じる.
シカゴという摩天楼都市の喧騒の中, 静かに見ていられて飽きない場所.
RCRは間違いなくミースから大きな影響を受けているだろう.
双方の空間を体験してそう感じずにはいられなかった.
この広場でもう一つシンボリックなのがカルダーの彫刻.
朱色に塗装された薄い鉄板とリブを組み合わせて立ち上げた, 工業的な巨大彫刻は, ミースの建築とも不思議に調和していた.
あたかもミースの引いたグリッドの座標点からカルダーがいくつか選び, 立体曲線でつないだ形がそのまま立ち上がっているような印象すらあった.