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今, 新しい建築のあり方が模索されている.

それも狭い建築家界隈内の話ではなく, 今後の社会やシステムやまちづくり等を全て統合した話として.

 

1. 前時代_Function-service-cosmetic(パッケージ化)

 

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今まさに崩れ去ろうとしている前時代を振り返ってみる.

 

日本で言うなら昭和から平成にかけて一気に進んだもの.

それは一言で言うと「パッケージ化」だと思う.

これは建築に限った話ではなく, ものづくり全般の話として.

 

パッケージはおおよそ下の3つ

Function(機能・仕様)

Service(サービス・サポート)

Cosmetic(外装・イメージ)

から成り立っていて, 何も考えなくてもこれらが労せず手に入るようにセットになったものだ.

 

例えばハウスメーカー等による建売住宅なら,

Function:寿命の長い重量鉄骨の家, 太陽光発電, 床暖房完備

Service:土地取得・融資から設計・施工まで一括サポート. 10年アフターサポート有.

Cosmetic:南仏のようなレンガ(風)の壁, カスタマイズ可能な設備

ということになり, この総体が商品になるわけである.

 

商店街に対立するものとしてよく描かれる大型ショッピングモールであれば,

Function:食料品から衣料品・家電まで全てそろう

Service:子供預かりサービス, コンシェルジュ

Cosmetic:家族仲良く便利に楽しめる<街>としてのテーマパーク的演出

 

これは何かと言えば, 販売者が消費者に売りやすくする仕組み,

もっと言えば作り手/製造者の不在である.

実はこの仕組みでは, 本質的な部分が一切隠されているのである.

 

 

2.消費者から生活者へ

 

平成の終わり頃, 10年前くらいから, 「生活者」という視点が出てきた.

自分がちょうど就活を迎える頃, 大手広告代理店では,

「いままでは消費者を対象としてきたが, これからは生活者視点でマーケティングしなければ」

という動きがあった. その背景にあったのがSNSの普及だ.

要するに, マスメディアを中心とした一方通行のマーケティングである程度「操作」ができた「消費者」とは異なり, 多角化した情報源とつながりながら自らも発信源となりうる行動スタイルを持つものとして, 新たに定義されたのが「生活者」である.

 

今, この「生活者」について再考が必要と感じる.

相互的にある影響を及ぼし合う, というのが「生活者」視点の考え方.

しかしそこで相互的になるのは情報だけなのだろうか.

 

10年前, 上記のムーブメントで感じたのは, 「生活者」になってもなお, 彼らが何らかのサービスを提供されそれを消費するという部分は同じじゃないか, ということだった.

けれど今, <サービス→消費> という二項対立的な仕組みそのものが, 大きく変わりつつあるのではないだろうか.

 

 

つづく