313 Kroller Muller Museum 散策型美術館 (3)

Rietveld Pavilion

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美術館自体は作品含めて見応えのあるものだった.

しかし, Kroller Muller Museumで見るべきところはそこだけでは終わらなかった.

シュレーダー邸を設計したトーマス・リートフェルトのパヴィリオン, そして子供の家を設計したアルド・ファン・アイクのパヴィリオンが同庭園内に.

そのいずれもが, Insel Hombroichに匹敵するほど印象的だった.

 

まずは美術館脇にあったリートフェルトのパヴィリオン.

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ほぼ内部というものがない建築で、これ自体が展示されている彫刻と合わせて屋外彫刻作品のよう.

H鋼の柱・梁, ブロック積みの壁, ガラスなどの線・面材要素.

何かを囲うようにではなく, ユークリッド空間上に任意に配置されているところが, きわめてリートフェルト的.

特にこれは住宅のように制約のある機能を持たない純粋な建築のため, そのコンセプトがより明快に現れている.

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 空間を定義するパラメーターとしては内外の仕切りと空間の高さくらいしかないのだが, 抑揚のある空間に仕上がっている.

 

一方で意外だったのが, リートフェルトと素材感という接点.

それぞれの要素の接合部は, ただ上に積み重ねられているかのように極限まで単純なものになっている. ブロック積みはブロックとして, H鋼はH鋼として, 木梁は木材として, 天井材の藁は藁として.

不自然に欠損・穴あけ等することなく, 非常に即物的に見せることが意識されている.

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ブロックは壁を形成するだけでなく, 穴から光を通して半透明な光の壁のような効果をもたらすものとしても使用されている.  ただ透明なガラスも, よく見るとゆらぎ感のあるレトロなガラスが使用されている.

 

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リートフェルトの作品は, 要素と構成を際立たせるため, 基本原色により素材感を抽象化しているというのがこれまでの認識であった.

 しかしここでは, 柱・梁である鉄骨と木こそ白黒に塗装されているものの, それ以外のブロック・藁は素材感をむしろ活かした使われ方がされており、要素ではなく材料の構築として表現しようとする意図が見られる. しかもその使い方が非常に上手く, リートフェルトという建築家の別の面を見たように思った.

 

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