212 ローカルビジネスと建築(3)

<おとなり otonari stand & works> NishiikeMartで開かれた「としま会議」に参加した後、板橋区にも同じようなローカル会議があるということを知った。 この仕掛人は板橋宿商店街で料理人をしている永瀬賢三氏。「いたばし会議」だけでなく「いたばし空想地…

211 ローカルビジネスと建築(2)

自分の生活拠点がある池袋三丁目近辺。ちょうど豊島区と板橋区の区境にあたり、周りには古くからの町工場と商店街が残る。いずれもが高齢化と後継者不在の問題を抱えており、廃業し、土地売却し、マンション化される場所も少なくない。近くの休業していた銭…

210 ローカルビジネスと建築(1)

Facebook上に「ローカルビジネス」が増えているように感じる。 「ローカルビジネス」、今のところの英語訳は「brick-and-mortar business」。 オンライン上の店舗に対して、レンガとモルタルで作られた、つまり実在店舗によるビジネスを意味するようだ。 You…

209 『現代の二都物語』 著:アナリー・サクセニアン

bookclub.kodansha.co.jp 副題は「なぜシリコンバレーは復活し、ボストン・ルート128は沈んだか」。 アメリカの二大ハイテク産業都市の1970年代〜90年代の対照的な発展/衰退の地域ネットワークの観点から分析である。 1970年代に軍需産業による発展、スタン…

324 Crematorio/空気感とランドスケープ(3)

葬祭場の内部へ. クレバス状の細長い回廊. 窓は無く, 淡黄色気味のコンクリート壁を, トップライトからの光が洗う. 矩形の礼拝堂. 無数に降り注ぐスリット状の光. 天空からの光が分厚い地を突き破ってそこに到達する様子はBell-llocの表現とも似ている. 方形…

323 Crematorio/空気感とランドスケープ(2)

水平性を強調する水盤, 無機質に建つ本体のコンクリートボックス. 回廊は, この湿地の風景をただ眺めるだけでなく, その空気感の中に身を浸し, 気を整えるための境界. <中間領域>と言ってしまえばそうなのだが, 何かそれだけではニュアンスが抜け落ちてしま…

322 Crematorio/空気感とランドスケープ(1)

ベルギーに戻り, Aarschotという駅からバスで15分ほど, RCRのCrematorioを訪れた. 実はこの作品, 完成は訪問時のつい直前であったが, プロジェクト自体はかなり以前のもの. 2000年代前半のEl croquis には既にほぼ同じイメージでプロジェクトとして掲載され…

207 大塚まちづくりシンポジウム

大塚駅周辺まちづくりシンポジウム memo 2018.12.02 @南大塚ホール 基調講演1 高野氏(豊島区長) (1)消滅可能性都市から持続発展都市へ ・H26.5.8日本創成会議「消滅可能性都市」に23区で唯一選定 →大きな危機感 ・「住みたい街」「訪れたい街」として「選ば…

321 Educatorium/Material(3)

美しい階段があった. プロフィリットガラスによる光の壁と, 亜鉛メッキグレーチングによる透けた壁. いずれも工業製品だが, それらを上手く組み合わせて使い, 上質な空間に. 断面も納まりも隠しようがないのでそのまま表しになっている. 先ほどの透けた壁に…

320 Educatorium/Material(2)

内部空間の率直な印象. ダイナミックな外観とは裏腹に, 非常に素直で質実剛健な建築だと感じた. 細部に至るまで, 堅実で必然性のある材の構成. シュレーダー邸を見た後だったから余計そう感じたのかもしれないが, 材の構成としてそのまま建築を見せるという…

319 Educatorium/Material(1)

Educatorium / OMA @University Utrecht ユトレヒト大学新キャンパスへは駅前から出るバスで. 高速道路JCTを越え, 少し街からは離れる. キャンパス内のバス停に着くと, 個性豊かな建物たちのお出迎え. Wiel Aretsによる新図書館は良かったが, いくつかは奇抜…

318 ユトレヒト/グラフィック(4)

街をいろどる, 遊び心のあるグラフィック. ユトレヒト駅の中からそれは始まっていた. 再開発中で非常に雑然とした駅周辺. 初めてこの街に列車で降り立った時に感じたガッカリ感はその後の街歩きで解凍されていったが, 駅周辺だけはいただけない街並みだった.…

317 ユトレヒト/グラフィック(3)

鉄格子も鎧戸も無い, ユトレヒトの大きな窓. ヨーロッパの多くの国々がカトリック-ラテン系であるのに対し, オランダは清教徒が多く, 疚しい生活をしていないことを表明するため, このような窓であるとのガイドブックの記載. 確かにどこの窓も, よく磨かれた…

316 ユトレヒト/グラフィック(2)

Utrecht, Netherland Ripoll, Spain この2枚の写真. 下は, 以前自分が過ごしたスペインの街並み. 路地の両脇に崖のように家々がそびえ立ち, 時折歴史的な壁面が顔を出す. グラウンドレベルは必ず店もしくは共同玄関と駐車場, 住居は2階以上にあるのが一般的.…

315 ユトレヒト/グラフィック(1)

オランダの古都, ユトレヒト. 観光地化されすぎず, 素朴な風情, おそらく本来の「オランダらしさ」が残っている街. ヨーロッパにあって非常に個性的な街で, この街を訪れたことは今回の旅の収穫であった. Schroderhuis 古い街並みの外れにあるシュレーダー邸…

206

Hatena DiaryからHatena Blogへ引越した. そもそもは, 学生時代に建築を学びながら感じたことや, 実際に旅行で建築や街並みを見て感じたことを記録しようと思って始めたブログだった. 正直, 学生時代に書いたことなので今から見返すと稚拙な内容も多く, 一旦…

314 Kroller Muller Museum 散策型美術館 (4)

Van Eyck Pavilion 記号的な抽象絵画のような印象的な平面図. 学生時代にどこかの本で見て印象に残っていたが, 実在する建築とは思わなかった. 本館とは離れた, 彫刻作品が点在する森の散策路を抜けたところにそれはあった. ファン・アイクとヘルツベルハー,…

313 Kroller Muller Museum 散策型美術館 (3)

Rietveld Pavilion 美術館自体は作品含めて見応えのあるものだった. しかし, Kroller Muller Museumで見るべきところはそこだけでは終わらなかった. シュレーダー邸を設計したトーマス・リートフェルトのパヴィリオン, そして子供の家を設計したアルド・ファ…

312 Kroller Muller Museum 散策型美術館 (2)

展示室がある本館. 古い建物ではあるが, 同じように随所に外の木立や庭園を意識的に垣間見せるつくり. この展示室の間のラウンジはどこか金沢21世紀美術館のエントランスを彷彿とさせる. 展示も近代〜現代の彫刻・絵画作品が共存し, 権威的な感じがあまりし…

311 Kroller Muller Museum 散策型美術館 (1)

オランダ郊外にあるKroller Muller Museum. ゴッホコレクションで有名という. 以前ドイツで訪れたInsel Hombroich Museumに似ていそうだという予感があった.散策する美術館. 美術館としてシンボルとなる建物がありその中で完結する美術館ではなく、自然の中…

310 ベルギーの小さな街のアートプロジェクト Reading Between the Lines③

建築というよりは彫刻作品で小さなものだが様々な気づきがあった。 ちょうどこの作品越しに村側を見ると、背景に作品と同じシルエットの教会が見え、呼応しているように見える。 水平の鋼板が積層されているだけなので、アイレベルは透明のようになり、周囲…

309 ベルギーの小さな街のアートプロジェクト Reading Between the Lines②

列車で1時間ほど、St.Truidenという駅で降りた。 ここでバスに乗り、iPhoneマップの情報を基にBorgloonという村を目指した。 今回の目的地は施設ではなくアート作品のため、位置情報が曖昧だった。 Borgloonに着けば何か情報があるだろう、というのは甘い考…

308 ベルギーの小さな街のアートプロジェクト Reading Between the Lines①

ベルギーに行くのは初めてだった。 訪れる一週間前、首都ブリュッセルで同時テロが起きていた。 目的地は郊外の街だったが、当然ブリュッセルを起点に廻る予定だったので、パリからのタリスでブリュッセル南駅に着いたときはおっかなびっくりだった。ブリュ…

307 自然と規律 Centro Cuisine②

空間としての質は高いのだが、どこかEl Croquisで見た時の高揚感と比べるとそれを超えてこない部分があった。 理由はシンプルで、新しい要素を挿入される側の既存城壁が綺麗になりすぎているのだ。 当然地元の石材を使用しているとは思うのだが、城壁の大半…

306 自然と規律 Centro Cuisine①

Rodezを朝に後にし、電車とバスを乗り継いで4時間、Montanbanの街。 更にそこから歩いたり自転車を借りたりして2時間、ようやく目的地のNegrepelisseの村に着いた時には既に夕方になっていた。 村はとても小さく、RCRの次の作品、Centro Cuisineの城壁はすぐ…

305 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage⑤

2枚の絵、白の中に黒の世界、黒の中に黒の世界、 黒い壁の後ろに白の部屋、そこにまたある白と黒の絵。 黒い部屋の先の白い部屋、そのまた奥には黒い部屋。 外から見た時に突き出ていたコールテン鋼の直方体の部分が白の部屋、それをつなぐ平屋の部分が黒の…

304 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage④

10時になりようやく美術館の中に入ることができた。 もともとRCRの建築作品を見るというだけでなく、Soulageの作品を見ることもまた楽しみだった。 Soulageの作品をRCRの空間の中で鑑賞する、その贅沢さは期待を裏切らなかった。 「黒の画家」と呼ばれるSoul…

303 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage③

まだ美術館が開かないので外観を見ることにした。 公園の逆の斜面側。 コールテン鋼の直方体ボリュームが4つ、芝生と石の斜面に突き刺さっている。 言語としてはOlotにある住宅作品のCasa Horizonteに近いが、後者の直方体小口が窓なのに対し、 ここでは完全…

302 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage②

Rodezの中心街は小高い丘の上にあるようだった。 駅は丘の下に位置していた。 朝暮の中、かなり急勾配な坂を上らなければならなかった。 ようやく街の中心に着いた頃には太陽もだいぶ高度を上げていた。 荷物から自由になりたかったが、まだ早い時間なのか宿…

301 黒と質感のコラボレーション Musee Soulage①

2016年3月、再びヨーロッパへ。 目的は2つあった。 一つはパリのとある設計事務所への就職活動、 もう一つは前回行けなかった、もしくは前回には完成してなかった新しい建築作品のうち気になっていたものを見るために。フランスとベルギーに完成した、RCRの…